データベース作成の動機と趣旨
デルヴォーと言えば、マグリットと双璧をなす同じベルギーのシュールレアリストです。デルヴォーの魅力は大きな油彩画だとは思いますが、そこにいたる習作の数々も、例えばデッサン等の下絵と最終的な油彩との構成の違い等、見れば見るほど大変興味深いものがあります。また繰り返し現れるモチーフ(機関車、鉄道、学者、骸骨、遺跡など)も、何を意味しているのか、見る人により自由な解釈を聞く事ができ、デルヴォーの描く世界観は鑑賞者を常に刺激します。
最初見たポール・デルヴォー展は、1989年、新宿・伊勢丹においてでした。その一年前、東京国立近代美術館でマグリット展やルドン展を見ていて幻想絵画の延長として、楽しみにしていました。大作ぞろいの油彩画は壮観な眺めでしたが、最初のデルヴォー作品との出会いとしては、美女の裸体ばかり見せられて、なんとも退廃的な「夜」のイメージにどっぷりつかったような思い出しかなかったのですが・・・。
2回目は佐倉市美術館の1997年の展覧会です。佐倉市とオランダは医学を通じて江戸時代から歴史的交流があり、印旛沼湖畔には本格的なオランダ風車まであります。そのため、なにかとオランダ・ベルギーの展覧会が催されることが多い美術館です。入館者が少なくゆっくり落ち着いて堪能でき、ここでは緻密な画面構成や人物やモチーフ一つ一つの表現の違い等、新たな視点で眺めることができました。
その後は、単発で作品を見るのみでした。2004年から2005年にかけて「ポール・デルヴォー展−その生涯と人物像」が全国五ヶ所で巡回されています。この展覧会は残念ながら東京近郊どころか関東には訪れません。(個人的にはせめて佐倉市美術館に来て欲しかった。)したがって早速、図録だけ取り寄せました。
この機会に古書店などで過去の展覧会図録や画集もなんとか手に入れることができましたので、デルヴォーの作品データベースを立ち上げた次第です。マグリットほど多くはありませんが簡単なモチーフ検索もできます。
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