作品に繰り返されるモチーフの魅力・・・

■マグリットの作品で繰り返し使われているモチーフは、いったい何を意味しているのか、大変見るものの想像力を駆り立てます。
■例えば、岩と雲を空に浮かべたり、夜と昼を同一に描いたり等、全く関連のないものを組み合わせます(対立物)。また絵のなかにキャンバスを立てたり(絵中絵)、幕を引いたり(絵中劇)という手法も得意です。
■他のシュールレアリストと比べても、そのシンプルな絵の構成は取っ付き安くファンも多いようです。

マグリット・モチーフ一覧表

■画像にカーソルをあわせると、モチーフのキーワード名が表示されます。

三日月 鈴、馬鈴 岩、岩塊 山、山並み レリーフ 木の葉の姿をした鳥
山高帽または山高帽の男 幕(カーテン) 青い空と雲 言葉 楽器、チューバ
炎 りんご 絵の中の絵 ライオン 擬人化 窓がたくさん見える建物
パイプ トルソ ろうそく 拳玉(ビルボケ) 眼 額縁
樹=葉 帆船 荒れた海 水平線 扉、戸 木目の床板、フローリング
球、玉 ヴェールをかぶせられたもの、人 裸婦 騎手 立方体状に積み上げられた空 卵
表面に赤い穴の形状 切り紙細工 パネル 楽譜 不定形

対立物 巨大化 石化 擬態 テラス 窓辺

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不思議なモチーフ 1.球体


マグリットの作品では球体を多く見かけます。似たモチーフとしては「鈴」、有機的なものとして「りんご」があげられます。但し「球体」と「鈴」、「鈴」と「りんご」が同時に存在する作品もあります。下に「球体」のモチーフを解き明かすいくつかの作品を掲載してみました。
■「記念碑の影」:記念碑としての巨大な球体が画面いっぱいに広がります。
■「果てなき調査」:谷間を漂う大きな球体の上に小さく人間が乗っているのが描かれています。「終わりなき偵察」とでも意訳しても良いかもしれません。この「球体」は無機質な機械=ロボットなのでしょうか。鈴が室内を漂う「自動人形(ロボット)」という作品もありました。
■「精神修養」では、人間の「顔」が球体となっています。これは鉄亜鈴の片方が顔部分の「無窮動」、人間の顔が異様に膨らんで宙に浮いている「生活の術」に通じます。
■「反射の帝国」では、宙に浮いているのは一見球体に見えますが、うっすらと大陸が見えることから「地球」なのでしょう。
L'ombre Monumentale
「記念碑の影」1932
Le Reconnaissance Infinie
「果てなき調査」1933
L'empire de la Réflexion
「反射の帝国」1942
Exercises Spirituels
「精神修養」1936

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モチーフ・キーワード

時代
【探求の時代】−1924年まで、キュビズム的
【ルノワールの時代】
【牡牛(ヴァーシュ)の時代】

言葉・テキストとイメージ
【テクストが構図の中に含まれる】
【テクストがイメージを説明して描かれている】−不確定なもの、確定したイメージ
【枠組みの中のイメージとテクスト】
【レリーフ】

天空
【月】−三日月
【太陽】−日没、夕暮れ
【青い空と雲】−【○】の形に切り抜かれた[○=鳥、幕]、背景としての、立方体状に

背景
【水平線】−水際、浜辺
【地平線】−砂地、砂漠
【山並】−山岳を背景とした、遠い山並み
【荒れた海】−帆船
【石造りの舞台(テラス)】平行、右に壁、左に壁
【木目の床(フローリング)】
【腰板のある壁】
【幾何学模様の壁】
【幕、カーテン】
【山高帽の男】の形切り抜かれた景色

描かれたもの
【拳玉】擬人化された
【鈴】拳玉(ビルボケ)のような鈴、天空に浮かぶ
【球体】
【岩塊】
【石の構築物】
【幕】

絵の中の絵
【レリーフ】
【パネル】
【額縁】
【イーゼル】
【絵中絵】

植物
【木の葉】鳥=葉、樹=葉
【樹】
【大木】
【森】
【鉢植え】自然を夢見る鉢植え
【花】薔薇

生き物
【鳥】−岩山の山頂の一部が猛禽類の頭部(アルンハイムの領地)、岩の形、
【鳥の卵】
【ライオン】
【犬】
【馬】

果実
【りんご】−擬人化された、マスク、人面、

建造物
【建物】同じ窓枠が見える建物
【橋】
【城】
【家】
【立方体】

乗り物
【汽車】
【飛行機】
【家具】

部屋の中のもの
【扉】
【椅子】
【家具】

こもの
【コップ】
【グラス】
【傘】
【帽子】
【靴】
【パイプ】
【ろうそく】
【楽器】ピアノ、チューバ、ギター、弦楽器、管楽器
 【楽譜のコラージュ】
【銃筒】
【銃】
【炎】燃えている○


【肖像画】
【女】
【ジョルジェット】
【裸婦】−下半身のみ、
【ヴェール】をかけられた人、もの
【男】
【山高帽の男】
【騎手】

首だけ、首なし等、人の部位
【トルソ】胴体だけの彫像
【首だけの彫像】
【顔】、顔の部位
【眼】
【鼻】
【耳】


【切り紙細工】
【表面に赤い穴がある】


【巨大化した】
【石化した】
【擬人化された】
【合体させた】靴と足(赤いモデル)、乳房とシミーズ(マック・セネットの想い出に)、切り株と塔(オールメイヤーの阿房宮)、魚と足(共同発明)
【対立物】−夜と昼(光の帝国)、雲と岩塊(アルゴンヌの戦い)
【絵中絵】


題名に人名「ヘーゲルの休日」「ヘラクレイトスの橋」「ユークリッドの幾何学」「ゼノンの矢」
題名に知名「ピレネの城」

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