日本でのマグリット個展は5回開催!

5冊のマグリット展を並べてみて背タイトルをとった画像

■日本でのマグリット個展(つまりマグリット作品だけを扱った展覧会のこと)は5回開催されています。私は1988年と1994,2002年の展覧会にしか入っていません。日本では少なくとも10年に1回は開かれていることになりますが、ピカソやルノワールに比べればとても少ないのかもしれません。でも同じベルギーの画家デルヴォーと比べて、ほぼ同じペースとも言えます。
■今度の日本でのマグリット展開催は、2013年 を予定しているようです。情報元はマグリット財団のホームページ http://www.magritte.be/ のNEWSを参照。2011年にブタペスト、2012年にメキシコを経てからです。まだ先は長いです。

■展覧会図録の版形は、時代とともに変遷してきました。最近ではA4判と大きいのが主流ですが、表紙が硬めのハードタイプもあります。出品作品の図版は、昔はモノクロで一部のみカラー図版でしたが、最近ではフルカラーとなりました。また文献リスト・年譜などの巻末資料も豊富になりした。
■図録はオークションによく出品されていますし、「日本の古本屋」では常時掲載されていますので比較的楽に入手できるかと思います。

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2002年版図録  ■コンパクトにまとまっていてお勧め!

2002年版図録の表紙画像
7月6日〜8月25日 東京渋谷・Bunkamuraザ・ミュージアム
9月1日〜10月20日 名古屋市美術館
10月26日〜12月8日 ひろしま美術館
主催:東京新聞、中日新聞など
表紙:「光の帝国」L'empire des lumières 1961年
版形:29.5×21センチ 装丁:ハードタイプ
東京展のチラシ「アルンハイムの領地」Le domaine d'Arnheim 1962年
2002マグリット展チラシ■日本初公開52点を含む93点の展示です。テーマごとに振り分けられた展示のうまさか、あるいはキャンバスサイズが大きな作品が多かったせいか、意外と出品作品が少なく感じました。ベルギー王立美術館の監修で「1998年の生誕100年を記念してブリュッセルで開催された大規模な回顧展の成果を踏まえて実現」された展覧会のようです。
■図録は手軽なA4サイズで、ハードなブックタイプです。掲載された記事・論文も多くて内容も良く、申し分がありません。
□巻末の主要文献は圧巻で大変貴重です。作品リストでは、はじめてレゾネbフ付加がされるようになった図録です。
2002年のマグリット展東京展のチケット
□寄稿:
●「ルネ・マグリット−見えないもののイメージ」シゼル・オランジェ=ザンクとフレデリック・レーン 12-13ページ
●「アイデアの栽培」シゼル・オランジェ=ザンク 14-25ページ
●「変容と差異の美学」木島俊介 26-32ページ
●「剃刀は剃刀である−マグリットの絵画における言葉とイメージ」フレデリック・レーン 138-149ページ
◎年譜:150-155ページ ◎主要文献:156-161ページ

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1994年版図録  ■ボリューム感たっぷりでお勧め!

1994年版図録の表紙画像
94年11月1日〜95年1月22日 東京新宿・三越美術館
95年1月28日〜4月9日 兵庫県立近代美術館
95年4月22日〜5月28日 福岡市美術館
主催:朝日新聞社ほか
表紙:「風景の魅惑」Les charmes du paysage 1928年
後表紙:「白紙委任状」Le blanc-seing 1966年
版形:29.5×24.5センチ 装丁:ソフトカバー

1994年版図録の裏表紙画像125点の展示で、絵以外に壜、ブロンズも出品されていました。図録はすべて大判で作品はすべてカラー掲載です。油彩画は一作品を見開き右に載せ、その解説を左ページで紹介している豪華な作りとなっています。但し解説文は全体的に文量が少なく、たまに関連する作品のデッサンや別ヴァージョンを掲載していますが、図録の大きさに比べて物足りない気がします。
□寄稿:
●「マグリットと世界の神秘」ダニエル・アバティ 12-15ページ 原文:16-17ページ
●「20世紀のトロンプ・ルイユ−ルネ・マグリットの世界」伊藤俊治(多摩美術大学教授・美術史家) 18-19ページ
●「マグリットによるマグリット」ここでは絵の主要なモチーフ(岩、山高帽、月、パイプ)ごとにどういう作品が他にあるのか白黒図版で一目でわかるようになっています。
◎年譜:261-265ページ ◎参考文献:266-279ページ

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1988年版図録  ■アカデミックでお勧め!

1988年版図録の表紙画像
4月8日〜5月15日 山口県立美術館
5月21日〜7月10日 東京国立近代美術館
ほか主催:東京新聞、日本航空
表紙:「無限の感謝」La reconnaissance infinie 1963年
版形:27×23センチ 装丁:ソフトカバー
1988年のマグリット展東京展のチラシ ■没後20周年を記念した海外巡回展。ローザンヌのエルミタージュ財団美術館とミュンヘンのヒュポ文化財団美術館での大きな成功を踏まえて日本でも開催されました。182点と展された作品数も多く、絵以外に写真やポスター等の関連資料もあり、質・量ともに最大の展覧会でした。
■図録では、それぞれの出品作品に対する解説もあり、図版と同じページ内に解説文があるため、大変見やすい構成となっています。また作品は年代別で、大まかな時代ごとに章として構成されていますが、W章「牡牛(ヴァーシュ)の時代」だけ、作品がわずか2点のみで、いくらか残念でした。でもマグリットらしくない異質な作品がなかったが故に、統一感があったかもしれません。 1988年のマグリット展東京展のチケット

□寄稿:
●「序論−ルネ・マグリットの類似性 [見えるもの]に留まることについて」高橋幸次 10-15ページ
●「生きているマグリット」 カミーユ・ゲーマンス 16-24ページ
◎翻訳「マグリットの死」マルセル・マリエン 25-26ページ 1967年ラジオ追悼講演
◎翻訳「マグリットの足跡」マルセル・マリエン 27ページ
◎翻訳「予言者マグリット」E.L.T.メザンス 28ページ 1946年4月
◎年譜(マルティーヌ・ジャケ):183-186ページ ◎主要文献:187-193ページ

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1982年版図録

1982年版図録の表紙画像
8月27日〜9月15日 東京・渋谷東急百貨店
10月9日〜10月25日 富山県民会館美術館
10月30日〜12月12日 熊本県立美術館
主催:読売新聞社ほか
表紙:「麗しい関係」Les belles relations 1967年
版形:24×25センチ 装丁:ソフトカバー
■没後15年の「もう一度、マグリット展を」という日本の美術ファンの熱い期待に応えて、マグリット夫人とベルギー政府の協力を得て開催された回顧展です。103点が展示されました。油彩画はほぼ全てカラーで掲載されていますが、個々の作品解説はありません。

□寄稿:
●「序文−マグリットの世界」E・ドゥノップ
●「シュルレアリストとルネ・マグリット」村木明(美術評論家)
●「マグリットとマググリット」池田満寿夫(版画家)
◎マグリットのことば ◎略年譜 ◎参考文献抄

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1971年版図録

1971年版図録の表紙画像
5月22日〜7月11日 東京国立近代美術館
7月20日〜9月5日 京都国立近代美術館
主催:毎日新聞社ほか 
表紙:「大家族」La grande famille 1947年
版形:24×25センチ 装丁:ソフトカバー
■日本初のマグリット展は、東京・京都の国立近代美術館で106点の展示でした。当時の図録は、現在のようにすべての作品がカラー図版で掲載されているわけではありません。この図録も、前半に作品30点がカラー図版で掲載されているだけで、あとは残念ながら白黒画像です。またカラー図版と言えども、当時の印刷技術が悪いせいか、それとも褪色のせいか、あまり見栄えがしません。それに個々の作品解説もありません。
□この展覧会にあわせて、1000部限定の箱入り特製本「ルネ・マグリット画集」が筑摩書房より刊行されています。収録図版は、図録と同じですが、カラー図版が異なります。

□寄稿:
●「ルネ・マグリットについて」エミール・ランギ
◎翻訳「言葉とイメージ」マグリット 巻末にあり
◎略年譜 ◎参考文献抄

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5回のマグリット展に毎回展示された作品!!


それでは5回のマグリット個展に毎回展示された作品はあるのでしょうか。調べてみたら、以下の2点でした。
La Belle Captive 1967 グアッシュ・紙(レゾネ1597)
日本語タイトルの変遷は、「美しき囚人」「囚われた美女」「囚われの美女」「美しい虜」
La Grande Famille 1963 油彩・カンヴァス(レゾネ972)
日本語タイトルは、5回とも「大家族」です。2002年の時には、宇都宮美術館所蔵になっていました。

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