表紙絵データベース…ルネ・マグリット(1898-1967)

■図録や画集以外にも、「あれ!、こんな本にもマグリットの作品が使われているんだ」と思った本はありませんか。このページでは、マグリット、ポール・デルヴォー、アンソール等の作品を表紙に用いた文芸書を、Amazonの商品バナーを利用して、ご紹介しています。
■なお他にもダリ、エルンスト等、20世紀絵画を表紙に用いた文芸書情報をご存知の方は、ぜひご教示ください。
※Amazonに表紙絵が無いものは、小さく画像を掲載してあります。
■いずれは、こんなこともできたらと考えています。

画家: まだできません。

ポール・デルボー(1897-1994)
ジェームズ・アンソール(1860-1949)
番外:マグリットに触れている小説

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まずは小説の表紙から…
話の内容に果たしてマグリットの絵がマッチしているのでしょうか。一度読むことをお勧めします。
以下、刊行年の新しい順に紹介してあります。

『光の帝国』(単行本)


キム・ヨンハ/著、 宋美沙/訳
二見書房 2008年12月刊行
表紙:「光の帝国」

■韓国で2006年8月に刊行された反-スパイ小説、ついに邦訳版が出ました。タイトルがまさに「光の帝国」ですから、マグリットの絵を先に見て、それからストーリーを考えたのでしょうか。
■内容:24時間以内に自分の存在はもちろん、暮して来た痕跡をすべて消去しなければならない北の工作員の男の話。 主人公キム・キヨンは平壌外国語大英語科卒、在学中4年間、対南工作員教育を受け、1984年ソウルに潜入したエリート工作員。ソウルの大学に入学して学生運動勢力を扇動して韓国を覆す計画であったが、送り込んだ北の担当者が失脚。スパイであったことを忘れ、平凡な一市民として生きてきた。 2005年、彼は一通のメールを受け、すべてのものを整理して帰還せよという平壌の命令を受ける…というはじまりです。 映画「シルミド」の逆のような設定。自分の存在まで消すというのが、なんとも言えません。
■表紙は「光の帝国」ですが、これは北朝鮮に対して韓国が「光の帝国」という意味なのでしょうか。光の中で姿を消すのは、容易でないかもしれません。
■なお原書の場合は、左表紙画像のように作品の一部分使用となっています。
原書の韓国語書籍リンク:http://book.daum.net/bookdetail/book.do?bookid=KOR9788954601917

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『ほとんど記憶のない女』(単行本)


リディア・デイヴィス(Lydia Davis)/著、 岸本 佐知子/訳
白水社 2005年10月刊行
表紙:「マック・セネットの思い出に」 In Memoriam Mack Sennett 1936

■51篇のショートショートと言われる極短編を集めた作品集。物語らしい物語も無く、どこか哲学的で意味深の話ばかりで、なにか「だまし絵」でも見せられているような気分になります。


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『白バラ四姉妹殺人事件』(単行本)


鹿島田真希(かしまだまき)/著
新潮社 2004年8月刊行
表紙:「恋人たち」 Les Amants U 1928

■一つの事件を契機に、お互いにかぶっていたヴェールをはずして行くような、平凡な家庭の狂気を描いた作品。第17回三島由紀夫賞候補作。
■ヴェールをかぶったマグリットの「恋人たち」、もうひとつのヴァージョンです。


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『寄生木』(文庫本)


長坂秀佳(ながさかひでか)/著
角川ホラー文庫 2000年12月刊行
表紙:「恋人たち」 Les Amants 1928

■題名はヤドリギと呼びます。「弟切草」「彼岸花」に続く三部作。ブリュッセル、ゲント、ナミュールと、ベルギーの古都を舞台としたり、中世フランドル絵画に隠された謎とかがあり、美術ファンにも面白い作品です。
■ヴェールをかぶった恋人たちが接吻をしているマグリットの作品は、確かにホラーにふさわしいのかもしれません。意外とマグリット初期作品には、ホラー作品に似合うものがたくさんあります。

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『望潮』(単行本)


村田喜代子(むらたきくこ)/著
文芸春秋 1998年12月刊行
表紙:「海水浴の女」 Baigneuse 1925

■老婆の「当たり屋」が大勢いるという噂を確かめるべく、玄界灘の小島を訪れたわたしが目にした光景とは…。川端康成文学賞受賞作。
■表題作の内容とマグリットの表紙はマッチしているかもしれません。



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『妄想の森』(単行本)


岸田今日子(きしだきょうこ)/著
文芸春秋 1997年10月刊行
表紙:「白紙委任状」 Le Blanc-seing 1965

■追想の中の出来事や、ふと頭に浮かんだ物語、芝居から発展した幻想など女優がさまざまな想いを綴った随筆集です。
■題名と表紙絵の如く、いつの間にか“妄想の森”の住人になってしまうかのような夢想の数々が記されています。


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『さようならということ』(単行本)


ダン・フランク(Dan Franck)/著
文芸春秋 1996年4月刊行
表紙:「人間の条件」 La Condition Humaine 1933

■孤独の画家と美しい娘との出会い、はかない現実とはてしない幻想のなかで、永遠の愛を夢見る男の物語。海外文学。
■画家が登場するので、イーゼルの描いてある作品を単純に選んだとも言えますが。題名と内容がマッチしているか否かは、読み手の問題かも。


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『透明人間の告白』(単行本)


H.F.セイント/著 高見浩/訳
新潮社 1988年6月刊行
表紙:「王様の美術館」 Le Musée de Roi 1966

■もちろん「透明人間」の元祖はH・G・ウェルズですが、これは透明人間の逃亡劇を現代に持ってきた一大エンターテイメントです。
■本の内容に比べると、マグリットの作品はいくらかおとなしめのような気がします。


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『夢の木坂分岐点』(単行本・文庫本)


筒井康隆/著
新潮社 1987年1月刊行
新潮文庫 1990年4月刊行
表紙:「オールメイヤーの阿房宮」 La Folie Almayer 1951

■第23回谷崎潤一郎賞受賞作。私も筒井康隆氏の作品で育った世代です。シュールな作風で、実験小説を得意とした筒井康隆氏の表紙に、確かにマグリットは似合っているかもしれません。
■単純に題名の「夢の木」とマグリットの作品の切株城と根っこをマッチさせただけなのかもしれません。

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『類推の山』(文庫本)


ルネ・ドマール(René Daumal)/著 巌谷 国士/訳
河出文庫 1996年7月刊行
表紙:「ピレネーの城」Le château des pyrénées 1959

■白水社から1978年に刊行されていた名著の復刻です。シュルレアリスム小説で未完だそうです。未読。フランス文学の最高傑作とのこと。




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以下は教養書の表紙です…
哲学・物理学なんかはマグリットの絵がお似合いです。

『検証格差拡大社会』(社会科学=単行本)


上村 敏之、田中 宏樹/編集
日本経済新聞社 2008年9月
表紙:「ゴルコンダ」 Golconde 1953

■機会の不平等、ワーキング・プアの増大、将来に対する不安等、…現在の日本が抱えている大きな問題を読み解く、総合的な格差社会論。
■作品名の「ゴルコンダ」は、格差社会が激しいインドの幻の古都であり、紀元前800年頃から採掘されて来た、記録に残る最古のダイヤモンド産地でもあります。


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『夢に迷う脳』(神経科学=単行本)


J・アラン・ホブソン/著 池谷裕二/監修 池谷香/訳
朝日出版社 2007年7月
表紙:「巡礼」 Le pelerin 1966

■副題として「夜ごと心はどこへ行く?」とあるように、睡眠と覚醒を行き来する脳のメカニズムを、神経科学の視点から解明する。夢研究の第一人者による、科学エッセイ。



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『MiND心の哲学』(哲学・心理学=単行本)


ジョン・R・サール(John R.Searle)/著 山本貴光・吉川浩満/訳
朝日出版社 2006年3月
表紙:「世界大戦」 La Grande Guerre 1964

■副題として「哲学的迷宮、その出口をさぐる」とあるように、哲学から心理学・生物学・脳科学に至るまで、「心とはなにか」という難問に、アメリカ哲学界の重鎮が解き明かす人間学の本。



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新装版『不確定性原理』運命への挑戦(科学=新書)


都筑卓司/著
講談社ブルーバックス 2002年9月新装版
表紙:「ガラスの鍵」 La Clef de Verre 1959

■1970年に刊行され読まれ続けたブルーバックスの中のベストセラー新装版。
■もし「ピレネーの城」を使うならば重力論の解説書にはいかがでしょう。


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新装版『四次元の世界』超空間から相対性理論へ(科学=新書)


都筑卓司/著
講談社ブルーバックス 2002年8月新装版
表紙:「白紙委任状」 Le Blanc-seing 1965

■「四次元」論で「白紙委任状」を表紙絵に使うとは、まじめな科学解説書ならではの選択と言えます。なお「白紙委任状」は岸田今日子『妄想の森』でも使われています。
■「光の帝国」「ピレネの城」等、マグリットの作品は、SFやファンタジーファンの心をくすぐる作品が多いのは確かです。

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『シュルレアリスム』(美術論=文庫本)


パトリック・ワルドベルグ (Patrick Waldberg)/著 巌谷國士/訳
河出文庫 1998年3月
表紙:「大家族」 La Grande Famille 1963

■シュルレアリスムの入門書。





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『ランボー「イリュミナシヨン」幻視』(フランス文学論=単行本)


本の表紙画像
篠原義近/著 国文社 1985年
表紙:「釘づけにされた時間」 La Duree Poignardee 1939

■フランスの詩人ランボーの研究書。「イリュミナシオン」は、1866年に発表されたランボーの詩集の題名であり、「啓示」「彩色版画」「照明」などの多様な意味が込められているようです。
■マグリットにも、実は「イリュミナシオン」Les Illuminations 1934 という作品があります。




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