テーマ別展覧会のなかのマグリット作品・・・

■マグリットが好んで描いたモチーフが、たまたまその展覧会の主題テーマと合致する場合があります。

2009 奇想の王国・だまし絵展


「奇想の王国・だまし絵展」のチラシ
名古屋展:2009年4月11日〜6月7日 名古屋市美術館
東京展:2009年6月13日〜8月16日 ザ・ミュージアム
兵庫展:2009年8月26日〜11月3日 兵庫県立美術館
図録サイズ:29.1×22.5センチ 191ページ 装丁:ソフトカバー

■3次元を2次元に写し取るという卓越した技術を身につけた芸術家たちが、奇抜なアイデアと緻密な計算によって生み出した虚構の数々「だまし絵」(今風に言えばトリックアート)。美術の歴史の中から、私たちの目を欺く「だまし絵」の系譜を約100点紹介する楽しい展覧会でした。 「奇想の王国・だまし絵展」の図録
■第5章では「20世紀の巨匠」としてダリ、マグリット、エッシャーが取り上げられています。マグリットの作風はほとんどがだまし絵ではないかと思いつつ、展示されていた作品は7点と破格扱い。しかもうち4点は海外所蔵です。
■マグリットは7点
1.「無謀な企て」原題:Tentative de L'impossible 英題:Attempting the impossible 1928年 油彩・カンヴァス(レゾネNo.284)豊田市美術館蔵。図録通番99。132ページに掲載。解説あり。
2.「囚われの美女」原題:La Belle Captive 英題:The fair captive 1931年 油彩・カンヴァス(レゾネNo.342)シドニー、ホガース・ギャラリー蔵。 ※日本初公開? 図録通番100。133ページに掲載。解説あり。
3.「前兆」原題:Le Précurseur 英題:The forerunner 1938年 油彩・カンヴァス(レゾネNo.455)ポーラ美術館蔵。図録通番101。134ページに掲載。解説あり。
4.「夢」原題:Le Rêve 英題:The dream 1945年 油彩・カンヴァス(レゾネNo.589)宇都宮美術館蔵。図録通番102。135ページに掲載。解説なし。
5.「望遠鏡」原題:La Lunette D'Approche 英題:The telescope 1963年 油彩・カンヴァス(レゾネNo.969)ヒューストン、メニル・コレクション。1971年に来てるから二度目です。図録通番103。136ページに掲載。解説なし。
6.「落日」原題:Le Soir qui Tombe 英題:Evening falls 1964年 油彩・カンヴァス(レゾネNo.988)ヒューストン、メニル・コレクション蔵。 ※日本初公開? 図録通番104。137ページに掲載。解説あり。
7.「白紙委任状」原題:Le Blanc-Seing 英題:The blank signature 1965年 油彩・カンヴァス(レゾネNo.1017)ワシントン・ナショナル・ギャラリー蔵。図録通番105。138ページに掲載。解説なし。

■デルヴォーは1点
「窓」原題:La fenêtre 英題:The window 1936年 油彩・カンヴァス(油彩レゾネNo.78)ブリュッセル、イクセル美術館蔵。図録通番106。139ページに掲載。解説あり。

□寄稿:
○「だまし絵とは何か−あるいは視覚の詐術について−」谷川握(國学院大学教授)pp.6-14
○「トロンプルイユ 往還する眼」木島俊介(Bunkamuraミュージアム・プロデューサー) pp15-23
●「20世紀のだまし絵−マグリット、エッシャー、デュシャンと“うそつきのパラドックス”」速水豊(兵庫県立美術館学芸員) pp24-32
○「日本のだまし絵、あるいはトリックアートについて」山下裕二(明治学院大学教授) pp178-181

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2005 描かれた禁断の果実 りんごの秘密


「りんごの秘密」展の図録
副題:描かれた禁断の果実−デューラーからセザンヌ、劉生へ
2005年4月23日(土)〜6月5日(日)ひろしま美術館
図録サイズ:25×19.5センチ 204ページ 装丁:ソフトカバー

■りんごを主題とした展覧会。図録の表紙がりんごの切り抜きで少し凝っています。 マグリット作品掲載の見開きページ画像
■巡回なしで地方都市の一美術館が企画して開催していますので、もちろん国内美術館所蔵の作品がほとんどですが、なかなか通覧するだけでも読み応えがあります。例えばりんごに関するいくつかの「コラム」もなかなか興味深いです。りんごと言えば静物画だけでなく、聖書の失楽園の元となる「善悪知るの木」のりんご、グリムの白雪姫の「毒りんご」などもあります。
■マグリットの作品は3点。第4章「ポップなりんご」として取り上げられています。158-160ページに掲載。個々の作品解説は175-176ページ。「マグリットのりんご」と題して158ページに解説があり、他に「リスニングルーム」の部屋いっぱいの巨大りんご、「これはリンゴではない」の作品についても触れています。
1.「観念」Abstract idea 1966年 油彩・カンヴァス 東京富士美術館蔵。図録通番31。159ページに掲載。青いリンゴが紳士の首あたりに浮いている絵。
2.「海辺にいるリンゴの顔をした訪問者」There are two apple-faced visitors on the seashore 1953年 リトグラフ 北海道立近代美術館蔵。図録通番32。160ページに掲載。リトグラフ12点組連作のひとつ「魅せられた領域」の7番目。
3.「結婚した司祭」The married priest 1968年 エッチング 姫路市立美術館蔵。図録通番32。160ページに掲載。マスクをした二つのへた付きりんご

■デルヴォーは、エッチングが1点。第1章「物語の中のりんご」として、聖書の創世記に出てくるイヴが持つ赤いりんごを題材とした作品。
「イヴ」Eve 1968年 エッチング姫路市立美術館蔵。図録通番14。32ページに掲載。

□寄稿:
○「りんごの美術史」古河可由(ひろしま美術館学芸員)pp.6-24

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2003 鉄道と絵画


「鉄道と絵画展」の図録
東京展:2003年8月2日〜9月15日 東京ステーションギャラリー
広島展:2003年9月21日〜10月26日 ひろしま美術館
栃木展:2003年11月1日〜12月23日 栃木県立美術館
福岡展:2004年1月6日〜2月8日 福岡市美術館
図録サイズ:29×22.5センチ 284ページ 装丁:ソフトカバー

■近代絵画に「描かれた鉄道」をテーマとする作品約200点を紹介する展覧会。列車のスピードやダイナミズムに敏感に反応し描いた未来派画家たちや、象徴性が込められた心象世界のモチーフとして鉄道を描いたデ・キリコやポール・デルヴォーらの作品も含まれていました。 マグリット作品掲載の見開きページ画像
■マグリットの作品はグワッシュが1点。
「ナイチンゲール」原題:Le Rossignol 1957-58年頃 グワッシュ・紙(レゾネNo.1406)カーネギー美術館蔵。 123ページに掲載。解説あり。
この作品は、「現代」を象徴する鉄道を「過去」を意味する宗教画に描き入れて、その意表をつくイメージで知られています。れたところで他にマグリットの絵で鉄道というと…線路に横たわる猫の絵「ラミナグロビス」1946年、暖炉から飛び出した汽車の絵「釘づけにされた時間」1939年 等が思い浮かびます。 「鉄道と絵画展」チラシ

■デルヴォーは4点。デルヴォーは、作品に頻繁に登場する鉄道のモチーフについて、子供時代に見た列車の想い出を描いており、特別な意味付けはしていないと語る。今回は日本の美術館が所蔵するデルヴォー作品で、会場によっては展示されていなかったようてす。
1.「汽車と風景」原題:Trains et paysage 1930年 水彩・紙 姫路市立美術館蔵。図録通番75。120ページに掲載。
2.「夜の汽車」原題:Train de nuit 1947年 油彩・板(油彩レゾネNo.185) 富山県立近代美術館蔵。図録通番76。121ページに掲載。
3.「夜の通り(散歩する女たちと学者)」原題:Une rue la nuit (Pprmeneuses et savant) 1947年 油彩・メゾナイトボード(油彩レゾネNo.180) 福岡市美術館蔵。図録通番77。121ページに掲載。
4.「森」原題:La forêt 1948年 油彩・板(油彩レゾネNo.192)埼玉県立近代美術館蔵。図録通番78。122ページに掲載。異界と現実を繋ぐかのように鉄道が描かれている。

□寄稿:
●「鉄道をめぐる絵画」三浦篤(東京大学助教授)pp.9-16 12-13ページにマグリット、デ・キリコ、デルヴォーの言及箇所あり。

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2003 絵の夢

「絵の夢」展の図録
2003年10月18日(土)〜12月7日(日)八王子市夢美術館
図録サイズ:26×19cm 79ページ 装丁:ソフトカバー

■八王子市夢美術館の開館記念展として開催された展覧会。展覧会のキーワードは、館名の一部でもある「夢」。理想や憧れの「夢」、眠りや幻想の「夢」、二つの意味を持つ「夢」をテーマに、20世紀前半のパリを中心として活躍した11人の画家たちの作品を、主に国内の美術館・ギャラリー等所蔵作品が展示されました。以下、この展覧会作品展示に関わった国内コレクション2つを紹介。
○南海コレクション:大分県南部佐伯市にある健康保険南海病院が所蔵するコレクション。約600点の優れた絵画などの美術品がある。今回は屈指のコレクションからヴラマンク、ユトリロ、ローランサン、キスリング、シャガール等を展示。
○なるせ美術座:東京町田市南成瀬にある「なるせ村田画廊」は、1985年より活動し近現代美術の紹介をしている。油彩画作品5点を中心とするデ・キリコのコレクションでも有名です。 マグリット作品掲載の見開きページ画像
■マグリットの作品は1点。「再開」Thee resumption 1966年 油彩・カンヴァス(レゾネNo.不明)図録通番23。61ページに掲載。解説なし。
これは同じ八王子にある東京富士美術館が所蔵するマグリットの作品2点のうちの1つ。晩年の作品らしく、人生を達観したような落ち着きが見える作品です。似たようなモチーフの絵はあるのだけど、何故かレゾネで見つけられません!。

■デルヴォーは9点。すべて姫路市立美術館の所蔵作品です。
1.「アレジア」Alesia 1966年 水彩・紙 図録通番14。56ページに掲載。
2.「純潔な娘たち」The vestal Virgins 1979年 ソフトエッチング、水彩・紙 図録通番15。56ページに掲載。
3.「窓」The window 1971年 リトグラフ・紙 図録通番16。57ページに掲載。
4.「海岸」The beach 1972年 リトグラフ・紙 図録通番17。57ページに掲載。
5.「見者」The chairvoyant 1974年 リトグラフ・紙 図録通番18。58ページに掲載。
6.「パイオリーヴ」Poilive 1975年 リトグラフ・紙 図録通番19。58ページに掲載。
7.「静寂」Silence 1972年 リトグラフ・紙 図録通番20。59ページに掲載。
8.「世界の果て」The ends of the earth 1968年 リトグラフ・紙 図録通番21。59ページに掲載。
9.「海は近い」The sea is near 1965年 油彩・カンヴァス(油彩レゾネNo.295)図録通番22。60ページに掲載。

□寄稿:
●「夢と20世紀絵画」巖谷国士(明治学院大学教授)pp.6-8
○「絵の夢展によせて」浅井京子(八王子夢美術館館長)pp.72-73

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2000 モナ・リザ100の微笑み

「モナ・リザ100の微笑み」展の図録
2000年1月29日(土)〜3月26日(日)東京都美術館
2000年4月4日(火)〜6月11日(日)静岡県立美術館
2000年7月15日(土)〜8月20日(日)広島県立美術館
図録サイズ:×cm ページ ソフトカバー

マグリット作品掲載の見開きページ画像 ■ダ・ヴィンチの「モナ・リザ」は製作以来500年余りの間、数々の芸術家たちに多大な影響を与え続けてきました。数ある絵画の中でも最も「複製」されてきたモナ・リザのイメージの変遷を辿りながら、現在の芸術創造の有様をも探る意欲的な企画の展覧会。開催はベストセラーとなったダン・ブラウン作「ダ・ヴィンチ・コード」が刊行される前です。
■マグリットの作品は1点。もちろん、
「ジョコンダ」原題:La Joconde 1964年 グワッシュ・紙(レゾネNo.1507)ベルギー仏語圏行政府蔵、ベルギー王立美術館に寄託 195ページに収録。第二章「引用から創造へ」の中でX.「形態の消去、絵画における主題の消失」の項で、表題だけが「モナ・リザ」を名指しながら、表象している作品として取り上げられています。

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1996 身体と表現1920−1980


身体と表現1920−1980展図録の表紙
副題:ポンピドゥセンター所蔵作品から
1996年3月5日〜5月19日 東京国立近代美術館
1996年6月4日〜8月18日 京都国立近代美術館
図録サイズ:29×22.5センチ ぺージ ソフトカバー

マグリット作品掲載の見開きページ画像 ■ポンピドゥ・センターの膨大な所蔵作品から、20世紀美術の歴史を「身体」というテーマで読み直す展覧会。
■マグリットの作品は1点
「凌辱」原題:Le Noctambule 1945年 油彩・カンヴァス(レゾネNo.580) 94ページに収録。
第三章「無意識の身体、あるいはシュルレアリスム革命」に掲載。ハンス・ベルメールの人形作品を除いて、他のシュルレアリストたちの身体表現の中でもマグリットのこの作品は際立ちます。

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番外:小さな卵の大きな宇宙


「小さな卵の大きな宇宙」の表紙 マグリット作品掲載の見開きページ画像
月刊たくさんのふしぎ
1999年1月号(166号)
福音館書店

■展覧会の図録ではありませんが、マグリットの作品を扱っている子供向けの科学絵本を紹介。マグリットで“卵”が出て来る二つの作品「親和力」(1933年)「透視」(1936年)を冒頭に掲げている卵の科学読本。

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